CASE01Aさんの場合( 金沢医科大学進学 )

スケジュールのコントロール。

Aさんは、丁寧な話し方をする上品な女の子で、かわいらしい、ふんわりとした雰囲気を持っていました。しかし、「頑張ります!」と意気込むその眼には、意志の強さも感じ取ることができました。

MEDiCでは1週間単位で生徒1人1人の授業から自習時間までの予定表を作成することが可能です。

Aさんが自分で書いて来た予定表には、学習内容がみっちりと書かれていました。

それこそ、睡眠時間を極限まで削り、早朝から夜中まで勉強以外にすることがないほどでした。

さすがに、それでは予定が多すぎてパンクしてしまいます。

Aさんと話をすると、「どれだけやっても終わらないし、人より時間がかかるから…。」と。

私は「その内容を全てやるのは時間的に誰がどう考えても無理だよ」と伝えましたが、「でも、もっとやらないと…」。不安だけが先行している様子です。

そう、Aさんは真面目すぎるあまり、自分を追いつめてしまうタイプでした。

一日は24時間しかなく、その中でできることには限界があります。

不要に不安が高まってしまうと、うまく勉強を続けることが難しくなります。

そこで、「勉強したいと思う量と、出来る量は違う」ということを伝え、思い切って自習学習の内容を削ることにしました。Aさんは自分で課した課題をこなせていないことに不安を感じて「何も出来ていない」と思いこんでいたので、「できた」という実感を積み重ねることが重要だと判断したからです。

学習内容の見直しの結果、Aさんにも少し落ち着きが戻りました。

AO入試の対策。

夏期講習が終わったころ、AさんがAO入試受験の相談をしてきました。

1次試験は書類選考。AO入試は志望理由書などを膨大に書く必要があり、書類の準備だけでも一苦労です。

しかし、頑張り屋のAさんは既に書類を準備していました。

出願書類をひとつひとつチェックし、小論文を担当する教務や講師にも出願書類の文章を見てもらいました。

AO入試のように長い志望理由書が求められる場合、主観判断に陥らないよう複数のスタッフが出願文章のチェックをする必要があります。それらのアドバイスをバラバラに伝えると本人も混乱するので、担任がとりまとめ、方針を定めて本人に伝えました。

Aさんの文章は、少々の修正だけですみ、とても良く出来ている書類でした。

結果、1次試験は無事通過。

2次試験は一般教養を中心とする試験です。

まずは、AO入試の指導経験が豊富な教務とも相談し、情報収集を行いました。

2次試験の問題は非公開でしたが、過去に受験した生徒が丁寧に復元してくれていた資料もありましたので、大方の予測はつきます。

また、学校説明会でAさんが受験する大学の入試課の方がMEDiCに来られた際に、別室で私とAさんは2人で入試課の方に大量の質問を投げかけました。

そこから出題の傾向を把握し、他の教務にも手伝ってもらってAさん用の課題を準備。

Aさんはその課題を着実にこなしてくれました。

もうひとつ重要なのは、面接対策です。

集団討論が課されることが分かっていますので、集団討論対策が豊富な教務と対話技法をよく勉強している医学生を交え、修正ポイントを明確に指摘しながら、本番同様の練習を繰り返しました。

練習風景はビデオ撮影し、後に確認して反省点をはっきりさせることで、2度目、3度目の練習では見違えるように良くなっていきます。他者の視点から客観的に見直すことができる点も、本人の安心に繋がったようです。

そして合格。

受験日が迫る中、やるべきことに集中させてあげたいと考え、演習系の授業を中心に授業から抜け、AOに向けた課題に取り組むようにスケジュールを組み替えました。

やるべきことが多いと不安になってしまうAさんには大事なことです。

合格発表の日、本来は自習拘束時間がありますが、私は家で合否を確認したいというAさんの希望を受け、帰宅してもらいました。ドキドキするのは教務も一緒です。その時が来ました。

Aさんから電話が入りました。「番号がありました!!」その声は涙ぐんでいるようでした。

※合格年度は伏せています。