CASE17Q君の場合(川崎医科大学進学)

Q君の指導にあたって

私がQ君を担当したのは、彼がMEDiC在籍2年目のときです。

継続生となり、彼を担当するにあたって、「厳しいノルマを課しながら私立医学部に合格させる」ことを、1つの目標に据えることにしました。

Q君の性格は素直で、コツコツと継続して学習を進めることができる行動様式を備えていました。そのこともあって、彼には様々な負荷をかけた学習メニューを課すことにしました。

学習の穴を徹底的に潰していく。

これまでのケーススタディーにも「PasScanシステムの活用」について述べていたと思いますが、Q君にも積極的に活用をしていきました。英単語・英熟語・英文法のテストを日々の学習で課し、その都度、誤答を蓄積していきました。

苦痛なことは分かっていましたが、英単語のテストは「意味を書く」だけでなく、「意味から単語を書かせること」も徹底させていきました。

また、継続生ということもあって、講師と相談した上で、生物に関して「授業の進度よりも早く問題集を解き進める」という学習メニューも立てることにしました。

それは、「生物の宿題用問題集(生物基礎・生物)を夏までに全て解き切る」ということです。また、単に解き切るというのではなく、「間違えた箇所を完全に理解して定着させる」というノルマを課していきました。問題集の内容は、基本から標準的な入試レベルであり、医学部合格を目指すためには、「どの1問も落としてはいけない問題」ばかりだからです。

授業のない日曜日も含め、日ごとに計画を立てて演習をこなし、ミスした問題は徹底して確認をする。根気のいる作業ですが、弱音を吐くこともなく最後まで演習をやり遂げました。

一方で、化学は前年から苦手意識を持っていたこともあり、個別指導と併用しながら着実に学習を進めていくことにしました。生物とは異なり、「焦らず・急がず・着実に」ということを意識して、1年間の勉強を進めていくことを考えていました。

実戦的な演習とメンタル管理

授業も後期に入ると、入試に向けた実践的なカリキュラムが多くなります。自習拘束の中でも、過去問の演習を含めた指導を進めていきます。

努力家のQ君ですが、学習面以外での課題もありました。それはメンタル面です。模試や試験になると過度に緊張をしてしまい、持っている実力を十分に出し切れないことです。高校時代に運動部に所属していた頃は、ピンチを楽しんでいたそうですが、「試験になると同じような感覚ではいられない」とのこと。

そこで、Q君には「入試問題の経験値と成功体験の積み重ね」が必要だと感じました。毎日の積み重ねで自信をつけてもらいたかったのと、過去問演習で結果がふるわなくても「合格までの距離感」を認識して、勉強をしてもらいたかったからです。

事実、Q君は、その年の生徒の中では1・2を争うくらいに過去問を解き、英語と化学は個別指導とリンクさせることで、苦手な科目を入試まで戦うことができるまで引き上げていきました。

念願の医学部合格へ。

入試直前になり、Q君も「これだけのことをやった自信」と「合格できるかなという不安感」が両方入り混じった環状で毎日を過ごしていました。

担任として伝えたのは、
「医学部入試で全勝することはほとんどない。」
「1校でも合格すれば医学部に行ける。」
「試験の出来に引きずられないこと。1日1日を区切って過ごしなさい。」

ということでした。彼のメンタル面を考えた時に、2・3校で良いから1次合格すれば良いと考えていました。

入試が始まりました。1次合格した大学の数は、決してQ君にとっては満足できるものではなかったと思います。その中でも川崎医科大学の手応えはあったようで、「正規合格できたらなぁ」という思いもありました。

結果的には正規合格にはならずに補欠合格の通知が。「繰り上がるかなぁ・・・」と、不安な表情で過ごしていたのを覚えています。

それから10日後。Q君から電話が。「さっき、家から電話があって川崎医科大学に繰り上がりました!」という喜びの電話でした。その声は涙声だったのをはっきりと覚えています。結果的には、正規合格と紙一重の成績だったと思います。

いま振り返ると、これまで多くの生徒の担任をしてきて、「ここまでコツコツと努力できる子が合格しなかったら、受験の神様なんていたもんじゃない!」と本気で思わせてくれた生徒でした。充実した医学部の6年間を過ごして、立派な医師になれると確信をしています。

※合格年度は伏せています。