CASE04Dさんの場合( 関西医科大学進学 )

Dさんは現役・1浪と医学科受験に失敗し、1次合格も果たすことができないまま受験が過ぎていきました。Dさんの1浪目の全国模試の成績は、全教科とも偏差値が50台半ばであり、総合の偏差値も50台後半でした。

Dさんは「国公立も目指したい」と考えていましたが、「まずは私立に合格する力が必要」という話をして、合格までの筋道をつけることにしました。

自己分析のできる子。

Dさんは、いろいろなアドバイスをたくさんの人に求める傾向があったので、「各教科とも1人の講師に相談する」ようにさせました。

アドバイスを一本化することで、Dさんは講師と相談をし、迷うことなく自分で計画を考え、教務スタッフに報告することができるようになりました。

そこで、私達は、精神面でのケアに重点を置くことを心がけました。 そして、これまでは模試で思うような結果を残せていなかったDさんに「模試で達成感を感じさせたい」と考え、模試対策を行いました。

5月のマーク模試では総合偏差値が65.2、記述模試では62.3となり、これまでの受験生活も含め、初めて偏差値が60を越える結果を残しました。

Dさん自身も、やればできるという達成感を感じていましたし、5月の模試では高卒生と現役生との成績差もあることから、 決して油断をしている様子もありませんでした。

新たに見えてきた課題。

当初は順調に進んでいたDさん。一方で新たな課題が見えてきました。
それは「記述問題に対しての弱さ」です。

模試の回数を重ねるごとに、マーク模試と記述模試の結果に、大きな乖離がみられるようになりました。 講師にDさんの状況を聞いてみると、「Dさん自身の中で無意識に限界を作っていないか」ということでした。

それで、Dさんが質問をした場合、講師が一方的に解説するのではなく、「口頭試問という形で発問する」ことを依頼しました。途中で限界を作り、理解したつもりになっていないかを、常に講師からDさんに確認させていきました。

また、ミスの多さも、大きな課題でした。特に数学では解法の道筋は正しいが、計算ミスをすることで大きな減点につながることがありました。

この点では、Dさんが毎日継続していた「自己コメント」をさらに活用するようにしました。

演習を通じて理解が不十分な単元があったときには、必ずコメントを書く。また、コメントには、ミスをした要因・その要因に対しての反省も書き、自己分析を徹底するように指導しました。

入試までにとった戦略。

記述形式の実力問題に弱さがあった一方、マーク形式の問題は無類の強さを持っていました。

例えば、過去のセンター試験の問題を解くと、数学ⅠA・ⅡBともに60分の試験時間の中で30分から40分ほどで全問を解ききります。

また、正解率も90%を下回ることは1度もありませんでした。このことは、理科も同様でした。

まず、私達は「マーク形式の大学に確実に合格すること」を念頭に置きました。

特に、金沢医科大学・川崎医科大学に必ず合格させることを、Dさんへの指導方針としました。一方で、Dさんの本命は「関西医科大学」をメインとした関西圏の私立医学部でしたので、2次力の底上げも必要でした。

そこで、入試までの日数を考え、過去の入試傾向を踏まえた学習メニューに切り替えました。

兵庫医科大学・関西医科大学は「数学の小問集合」が出題される可能性が高いこともあり、 教務担任による「日々の小問集合プリント」が課されました。全ての問題に対し添削がされ、計算ミスをしたときは、ミスの要因まで掘り下げていきました。

また、関西医科大学の生物や、兵庫医科大学の化学についても、講師による徹底した指導が行われました。

最終的に、川崎医科大学を正規合格、金沢医科大学と兵庫医科大学は早い段階での繰り上げ合格、そして、関西医科大学の繰り上げ合格となり、Dさんへの指導方針が結実する形となりました。

Dさんの1年を振り返ると、メンタル面でケアすることもありましたが、学習面においては「自己コメント」を始めとして、合格するための行動様式を持ち合わせた生徒でした。

ただ、その方法論を自分自身で確立できず、勉強の筋道を立てられなかったことが、現役・1浪での不合格の要因だったと思います。

充実した医学部での6年間を過ごして、立派な医師になってもらいたいと思います。

※合格年度は伏せています。