CASE06Fさんの場合(東京女子医科大学進学)

今、思い返してみても、Fさんの合格はFさん自身で考え抜き、頑張りぬいた結果によるもので、私がFさんから学んだことの方が多かった気がします。

Fさんには現役時代、MEDiCで一度相談を受けていました。その時は、「そんなにテンパって話さなくても…すごくいい子なのは分かっているけど大丈夫かな。」という印象を受けたことを覚えています。その後、「二度と会うことはないだろう」と思っていたら、MEDiCで再会したのは残念だったような、ちょっぴり嬉しかったような。

面談を通じて出した方向性。

年度初めに実際に面談をしてみると、推薦入試を経験してきただけあって、意見もはっきりと言えるし、考え方もしっかりとしている。非常に真面目で、ただ、ほんの少し思い詰める傾向があるところが心配かなという印象でした。

学力面では、現役時に推薦入試やセンター試験に力を入れてきた結果、数学ⅠA・ⅡB及び理科Ⅰは比較的よくできていました。といっても、私立医学部入試に十分対応できるレベルではなく、理科Ⅱや数学Ⅲの範囲となると、甚だ怪しいところがありました。

また、前年の模試偏差値を見ると理科で底上げし、英語・数学が足を引っ張るという、総合成績が少し伸びにくいタイプです。ただ、センター試験の国語が、ほぼ満点に近い成績であったことから、理解力に問題はないと見受けられました。

第1志望は東京女子医科大学とのことだったので、まずは「英・数・化・生」という主要4科目に力を注ぎ、それらの成績が十分に伸びた場合は、国公立大学を視野に入れることにしました。また、国語(現代文)の高得点を活かせるので、私立医学科のセンター利用入試や帝京大学も選択肢に入れることにしました。

授業が始まって。

授業開始後、心配していた数学Ⅲや理科Ⅱですが、目を見張るような利発さはないものの、地道な努力と、講師や教務への質問を利用することでカバーしていきました。また、化学Ⅱの気体や平衡といった理論分野に関しては、授業だけでは理解が怪しいとみると、個別指導を受講することで補完をしていきました。

Fさんは助言を取り入れるのが上手く、MEDiCの持つ「人・情報」を非常に有効に活用していました。また、その際も、それを鵜呑みにすることなく、自分の頭で考えて消化し、参考にしていました。そんなFさんに対しては、余計な脚色や脅しは返ってマイナスになると思い、こちらはできるだけデータに基づいた事実を話し、具体的な問題傾向にそったアドバイスをするように心がけました。

入試直前にメンタルをピークの状態にした。

試験に対してのピーキングの上手さも、Fさんの持ち味だったと言えるでしょう。学力が同程度でも、試験1ケ月くらい前から試験当日にかけての過ごし方・心の持ち方によって、結果は大きく変わってきます。

Fさんは、自分自身をその時点で最高の状態に仕上げることが非常に上手でした。別に、Fさんが自信家だったわけではありません。実際、話していて泣き出したことは一度ならずありました。ただ、Fさんの言葉を借りるなら、「やれることやったし大丈夫。と思うと、合格する気がするんです。」という通り、受験校に対しても自信を持てるような環境作りに努めていました。

今でも、Fさんと受験校決定に費やした時間を思い出すことができます。模試結果の順位や、過去問を解いてみた感触、講師や教務から得た、できる限りの情報、学費と手続き期限、居住地まで考慮に入れて選別し、選んだ受験校は、一風変わったものに見えましたが、その理由を聞いたときに、素直にFさんの考えの深さに感心したことを覚えています。

入試を迎えて。

考え抜くことはFさんの長所でありましたが、そのせいで悩んでいたこともあります。私立医学科のセンター試験利用入試をどうするかをギリギリまで悩んでいました。

いくら考えても結論が出ない部分はあります。また、自らの制御が及ばない事象もあるでしょう。そのようなことをFさんと話したことを覚えています。

結局のところ、助言が効いてリラックスできたのか、それとも元々それがFさんの強さだったのか、センター試験もきっちりと点数を取り切って、センター試験利用入試の合格を、ほぼ確実なものにすることができました。

その後も、福岡大学と試験日が重複して受験できなかった聖マリアンナ医科大学を除き、全てで正規合格を取り、第1志望の東京女子医科大学への入学を決めました。

終わってみれば、合格するべき人が普通に合格したというだけの話です。ただ、その過程は決して平坦ではなかったし、傍らで見ている側としても非常に今後の参考となりました。

今、Fさんは東京の空の下、元気に医学生をやっているでしょう。きっと、良き医師となるだろうなぁ、と思いつつ…

※合格年度は伏せています。