CASE18Rさんの場合(大阪医科大学進学)

基本的な学習からのスタート

結論から先に書くと、Rさんは大阪医科大学に進学をしましたが、入学時は「国公立私立医学部選抜コース」にギリギリ認定が出せるような模試の成績だったのを覚えています。

ただ、新学期が始まる前の3月には「私立医学部コース」のレベルを念頭に置いた春期講習会に出席をし、用事で授業に出席できなかった分は個別補習を組みました。

基礎的な学習を徹底したこともあって、クラス編成テストにおいて優秀な結果を残し、新学期のスタートを「Xクラス」で在籍することになりました。

指導をして分かったRさんの可能性

新学期が始まり、Xクラスの生徒達に掲げた目標は、

「関西4私大の合格を目標とする」
「繰上げ合格ではなく、正規合格を早い段階で勝ち取る」
「1浪目の生徒は、近畿大学医学部の推薦入試に必ず合格する」

上記の3つの目標を言い聞かせていました。Rさんも例外ではありません。1浪目ということもあって、近畿大学医学部の推薦入試には必ず合格させる目標設定を定めました。

PasScanシステムにおいては、英語をメインに多くの課題をさせていきました。当時の近畿大学医学部の推薦入試では、英語の配点が最も高かったこともあり、難易度が非常に高いと評判の「近大英語」であっても、それ相応の得点を取れば、周りの受験生に差をつけれると考えたからです。

そのように思った理由は、他にもありました。

新学期に入ってから分かったことですが、Rさんの「生物」の成績は非常に優秀で、Eクラスも含めたMEDiC全体の中でも、常にトップクラスに位置していました。

近畿大学医学部の推薦入試は理科が1科目なので、「高得点が2科目あれば当日の試験では無敵になれる」という考えからでした。

日々の学習の中で、PasScanシステムを用いて、「単語」はもちろん、難易度が高いめの「文法」・「熟語」も徹底的にこなし、誤答を蓄積しながら、誤答だけを集めたテストを繰り返しこなしていきました。

短所と向き合わせた毎日

生徒が10人いれば10通りの指導方針があります。担任として心がけたことは、「生徒自身の良いことも悪いことも包み隠さずに指摘する」ことです。Rさんに日々指摘していたことは「雑さ」と「字の汚さ」でした。

特に「雑さ」に関しては、数学の学習や答案を見ていれば顕著で、「丁寧に解法の過程を追って学習していない」ことや「字の汚さが原因でケアレスミスをする」ということもありました。

また、数学に限らず、あらゆる教科においてケアレスミスが多く見られました。そのこともあって、Rさんには「ケアレスミスノート」の作成をさせていきました。

これは問題の間違い直しというよりも、「自分がどんなケアレスミスをしたのか?」ということを、具体的に書いていくものです。それを毎日書いていくことで、自分が陥りやすいパターンを認識することができ、日々の勉強に生かすことができるようになりました。

ちなみに、Rさんは推薦入試の当日も、試験会場に向かう際に、ずっと「ケアレスミスノート」を見ていたのを、ここで付け加えておきたいと思います。

推薦入試にむけて

推薦入試に向けて、過去問の演習は早い段階から始めていきました。

8月から演習を始め、まずは「出題傾向に慣れること」から。その次は「解けなかった問題(テーマ)に対してのアプローチ」という順に学習を進めていきました。

この年のXクラスには、全員の生徒に「日々の演習」というものを課していきました。この課題は、授業での復習テスト・過去問演習を通じて、Xクラスの生徒に共通した弱点があった場合に、全国の大学から類題を抽出したプリントを私が作成し、徹底的に弱点を潰していくというものです。

授業の予習・復習・PasScanシステムに加えての課題ですから、かなりの負担であったと思います。ただ、Rさんも含め、Xクラスの生徒は最後までやり遂げていきました。

Rさんは過去問を10年分演習し、経験値を十分に積んだ状態で、近畿大学医学部の推薦入試を迎えました。

生物は完璧・英語と数学は少し自信がなさそうでしたが、結果は見事に合格。12月の時点で医学部生になることが確定しました。

受験生としてのラストスパート

推薦入試に合格となれば、一般入試の受験校の数も絞られます。Rさんは、国公立大学・大阪医科大学・関西医科大学に向けたピンポイントな勉強が可能になりました。

冬休みは従来の指導に加えて、Rさんを含めたXクラスの全員に「大阪医科大学の英語対策」も追加することにしました。

御存知の通り、大阪医科大学の英語は「英文解釈」と「英作文」の2本立てです。出題形式だけでいうと「京大型」とも言えるでしょう。ここでは、過去問を中心とした添削を進めることにしました。

MEDiCには、英語の指導を主な業務とする教務スタッフが在籍しています。添削課題をこなし、添削を通じて「弱点の把握と対策」に日々取り組んでいきました。それと同時に、関西医科大学に向けた過去問演習も計画的に進めていきました。

そしていよいよ入試を迎えます。

センター試験は80%台の後半。国公立大学も十分に狙える結果でした。関西医科大学は生物以外は自信がなさそうでしたが、最終的には正規合格という結果に。大阪医科大学は正規合格ではなかったものの、繰上げ候補者に入ることができました。

当初は国公立大学を受験する予定でしたが、関西医科大学に正規合格したことで、国公立大学の受験はキャンセル。そして、3月下旬に大阪医科大学の繰上げ合格となりました。

担任として、Rさんには叱咤激励(叱咤の割合が多い)の毎日でした。それでも、最後まで勉強をやりぬいた姿勢は見事なものだと思います。

彼女はいまMEDiCのスタッフの一員として、月に何回かMEDiCでの仕事に従事しています。受験生としての自分自身の経験を後輩達に伝えている姿からは、少し大人になったRさんが感じられます。

※合格年度は伏せています。